『作りたい女と食べたい女』――感想・レビューをがっつり。
私が欠かさず読んでいる大好きなマンガのひとつで、NHK夜ドラでのドラマ化でも話題になりました。
女性同士の関係を扱う作品だけど、いわゆる“恋愛一直線”ではなく、料理と日常と、じんわり育つ絆が主役。多様性や自分の気持ちに向き合うきっかけにもなって、長年モヤモヤしていた私の心がふっと軽くなった…そんな作品です。
はじめて読んだとき、「あ、これが“好き”のかたちかも」と腑に落ちた。
『作りたい女と食べたい女 感想』『作りたい女と食べたい女 レビュー』を探している人へ、あらすじ・見どころ・登場人物の魅力を私視点でまとめます。ドラマ版も原作リスペクトが強くて嬉しい仕上がりでした。
同性が好きでもいい!
こんにちは、のっくです!いきなりですが結論。
どんな“好き”があってもいい。
この一言に尽きる。もっと早くこのマンガに出会っていたら、「自分はおかしいのかな」って悩む時間が減っていたかも。作品がそっと背中を押してくれました。
『作りたい女と食べたい女』――2人の関係がたまらなく愛しい
あらすじ(超さわり):
お隣同士の野本さん(料理が好きだけど少食)と春日さん(おいしくたくさん食べたい人)。
野本さんが作りすぎたごはんを春日さんにおすそ分けしたことから、“つくる”と“たべる”のニーズがぴたりとかみ合って、一緒に食卓を囲む時間が増えていく。
やがて2人は「大切な存在」だと気づくけれど、それは男女の恋愛テンプレとは違う、もっと静かで、生活に寄り添う関係。
さん付けで呼び合い、無理に名前を変えようとしない距離感も好き。大人の節度と不器用な愛情が、日々の食卓と会話の中にじんわり染み出す。
見どころ(推し):
・ごはんの描写が反則級。湯気や音まで聞こえてきそうで、読むとお腹が空く。
・2人の対比がかわいい。クールで表情が薄い春日さんと、表情豊かな野本さん。照れが細やか。
・恋愛のラベルを急がない。「家族よりあたたかい“居場所”」としての関係の書き方が新鮮。
・周囲の人もやさしい。多様性を押しつけず、ただそこにあるものとして描くバランスが好き。
私は女の人が好きだ――自分の“好き”の形に名前を貼らなくていい
私も多分、女の人が好き。
でも夫と恋愛結婚して子どももいる。いわゆるカテゴリーで言えば“バイ”に近いのかもしれないけど、私の気持ちはもう少し複雑。
女性に対しては友達以上の特別さを求めるけど、恋愛の型に回収されない。
男性に対しては恋愛的な要素をしっかり求めてきた。
――このグラデーションを、無理に一語で定義しなくてもいいんだ、とこの作品が教えてくれた感じ。
やっぱり私は女の人が好き(職場の先輩への憧れ)
いま、仕事を組んでいる先輩(女性)が好き。といっても「独占したい」ではなくて、特別な“相棒”でいたいという気持ち。LINEの返信を待ってしまうし、褒められた日は一日ハッピー。恋といえば恋、でも恋愛の着地点を求めていない。
この“名前のつけづらい感情”を、野本さんと春日さんの関係性が可視化してくれた気がする。

在宅と出社がすれ違う日が続くと、つい「寂しくて死んじゃう…」と嘆いて「うさぎかっ!」とツッコまれる(笑)。
私が尊敬して甘えられる、最高のパートナーでいたい――そんな気持ちを自覚できたのもこの作品のおかげ。
同性が好きでもいいんだよ!
“好き”の出どころは人それぞれ。作品はその当たり前を、ごはんと日常でやさしく描いてくれます。
どんな形の好きでもいいんだよっ!
単行本は(執筆時点で)3巻まで。ウェブ連載(コミックウォーカー等)では2人の関係がさらに前進する温かなエピソードも。
NHKの夜ドラ版は、原作の空気を大切にしつつ、料理と間合いの良さを映像でじっくり見せてくれて嬉しかった。これから読む人は、原作→ドラマの順でもドラマ→原作の逆輸入でも楽しめます。
こんな人に刺さる『作りたい女と食べたい女』
- 食と日常が丁寧に描かれたコミックが好き
- 百合/レズビアン作品に興味はあるけど、過剰なドラマより生活感が欲しい
- 「恋だけじゃない大切な関係」を言葉にできなくて悩んだことがある
- 自分の“好き”の輪郭をゆっくり確かめたい
- NHKの夜ドラで気になって原作も読みたい
読みどころ深掘り:ごはん×会話=関係が“育つ”快感
この作品の快感は、おいしいごはんが関係性を前に進めるところ。作る側の達成感と、食べる側の幸福感が噛み合うと、何げない対話が一歩だけ深くなる。
「頑張らなくていい、でも少しだけ素直になる」――その連続で、ラベルや定義を飛び越えた居場所ができあがっていく。
読後、ふと誰かに料理を作りたくなるし、誰かの作ってくれたごはんを「おいしい」と言葉にしたくなる。生活がちょっとだけやさしくなる漫画です。
作者さんはレズビアンを明言しているけれど、そこで止まらないのがこの作品の良さ。
固定観念をほどき、“偏見に気づくきっかけ”をそっと差し出してくれる。説教ではなく、おいしさと心地よさで伝えるから、読み手の心にやわらかく届くんですよね。
いつもの日常の中にも、野本さんと春日さんみたいな関係はきっとある。
ごはんを一緒に食べて、何でもない話をして、同じ時間を重ねるだけで、言葉にしづらい“好き”が育つ――そんな現実の可能性を、静かに信じたくなる一冊(とドラマ)でした。
期末&新年度もがんばろーっ!
原作はマイペースに追いかけ中。最新話のほっこりで、今日もごはんがうまい。
…と書いていたら、推し先輩からLINEが来てニヤけました。はい、がんばります!